水ぬるむ触れあへる肩いよよあつく

京都で学生時代を送った。
はじめて故郷を離れて暮らした。
ちょうど短大の合格通知が届いたのが今頃である。

はじめて年上の人と恋した。
出会ったのも今頃である。
今思うと喜劇めいて思えるほど、ふたりとも青かった。今日日の若い人たちだったらバカにするかも。
何せ、この前髪を切りに行ったら、初対面の美容師さんに、
「わたし、今、彼と暮らしてるンですけどオ。」
なんて、いきなり切り出されたもんね。
そんなナマナマしいこと、初めて会う年上のお客に、それも、天気とか食べ物とかの話とおんなじ調子で繰り広げちゃってもいいんだろうか、と、どきどきしちゃったわ。
わたしの若い頃だったら、ミセスにそんなことを打ち明けたら、
「あなた、そんな不真面目なこと、だめよ。」
なんて、言われるのがオチだったもんだ。

世の中、変わった。
最早、純愛は不倫の恋にしか存在しない。
そう言い切った人までいる。
かつての恋愛に存在した倫理観がことごとく失われたから、制限が無くなり、自由にはなったものの、どきどき感も失われたとか。

それでも、やっぱり出会いのときめき、そこから始まってゆくプロセスのひとつひとつ、やっぱり恋が生まれれば必ずひとつそこにストーリーができるはずである。

京都の鴨川。
川べりに一組ずつ、肩を寄せ合いながら、等間隔に並ぶ恋人たち。長いこと京都に行っていないけれど、今でも、あの風景は見られるのだろうか。

わたしたちは、あんなふうになれるかなあ。
そんなことを思いながら、橋の上、先を歩いていく彼の後ろ姿をみつめていた、あの季節がやってくる。

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