夜明けの時刻がはやくなった。
東向きの窓から、カーテン越しに白い色がほんのり浮かび上がって光が届く。小鳥の声がしている。


コーヒーと煙草すなはち朝霞

恋人同士で迎える朝。別れの時刻が迫っている。
そういう場合は、この穏やかな春の夜明けが憎らしい。
居心地のいいベッドを抜け出して、ため息をつくのは、女。男の方は、女の起き出す気配で目覚め、寝転んだまま煙草に火をつける。
夕べ、この部屋で見たときとは、煙草の火の色が違う。女はそんなことをぼんやり思いながら、熱いコーヒーの仕度に取り掛かる。
よくある男と女の話。
何気なく想像を巡らせながら、煙草、という小道具について思う。
こういう場面で、煙草を手に取るのが、男でなくて女の方だったら。

男で、煙草を吸うひとには、シャイな人が多い気がする。表面、どんなに陽気に振る舞っていても、ジョークを飛ばし、プレイボーイを気取っていても、実はスゴク繊細。それなのに傷つきやすい自分のことはキライ。そういうタイプ。

女で、煙草を吸う人もいる。
だけど、こっちは、男と逆。精神的にタフな人、色々な場面で勝ちに行き、そうして、そんな自分が好き。

積極性に働くベクトルと、消極性に働くベクトルと、おとなはそのベクトルのバランスを取りながら生活していかなきゃならない。
煙草という小道具は、この両ベクトルのバランスを取るときに、結構つかえるのかも。

シャイな男が、自分を守るために。
ゲンキな女が、自分を抑えるために。

煙草は、今日も存在する。

もちろん、これはわたしの勝手な思い込みである。なんにでも、例外はあるし、ホントはこういうことって、正解なんか無いのだ。
なんでも、断定しちまうのは、よくない。

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