ヨーグルト目覚めればふと風薫る

ヨーグルトを、育てている。
ヨーグルトのもと、というのか、菌、というのか、そういうのを分けてもらって牛乳に植えればよい。
植える、といっても、まあ早い話が、もとを入れてかき混ぜればよろしい、ということ。そうむずかしいことでは無い。漬物の糠みたいなものである。
って、これは、わからない人もいるかな。
しかし、それだけのことのはずなのに、これが、結構デリケートなものらしい。あまり長期間かまってあげないと死んでしまう。よごれたスプーンもダメ、余り暑い場所にもヨワイ、という。
ヨーグルトをつくっている、ではなくて、育てている、と書いたのは、そういうわけだから、である。
しかも、この「もとちゃん」は、遠くカスピ海のほとりの村からやって来たものの子供なんだというから、浪漫があるではないか。
冷蔵すると眠り、室温では起きる。
冷蔵庫から取り出して新しいヨーグルトをつくるとき、そうっと、そうっと、混ぜながら、今、目覚めている目には見えない生き物の存在を感じる。
開け放った窓から、五月の風。
風も、目には見えないけれど、なにかを確実に運んでゆく。
風を浴びているだけで安心できるような日には、元気なヨーグルトができることだろう。

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