男が妻に選びやすいタイプの女とそうでない女。
たとえ、そういうものが存在するのだとしても、それは愛情には適わないものだと信じてきた。
つまり、この子は奥さんにはしたくないな、と思っても、愛情が深まっていくうちに、
やっぱり結婚したい
そう思うようになるのだろうと。
なのに。
好きだよ、すきだけれども、そういうんじゃないんだ。
男の言葉が、耳に付いて離れない。
できれば、結婚なんかしたくないよ。でも、外堀を埋められちまったんだ。
相手の女まで用意されてから、別れを切り出されるとは思わなかった。
最高だったよ。
いつも、会うたびに違う顔を見せてくれた。
いったい、本当の気味がどんな人なんだか、最後までわからなかった。
最後。
男の言葉に食って掛かる。
最後なんて、いや。そんなの、あたしは認めない。
ほら、そういうことも言うんだよな。
他に相手はたくさんいるのよ的なことも言う女なのに。
そんなこと、言っただろうか。
たとえ言ったとしても、相手が何人いても、最後にはあなた、そういうことだったのに。
最後には。
最後。
同じ言葉をつかいながら、あたしたちは違いすぎる結末を主張して、互いに譲らない。
男は、写真が好きだった。
主に花を撮るのが好きだと、はじめてもらった手紙に書かれていた。
雨上がりの透き通った日の光が、薄青い紫陽花の 花のかたまりをやわらかくとらえている一枚の写真が同封されていた。
きみは、この花のように、会うたびにイメイジが変わってしまいます。
いったいどんな女性なのか、もっともっと知りたい。
彼から向けられた、たくさんのレンズの目。
その中で、いったいあたしはいくつの色を見せたのだろう。
あたしの写真を、頂戴。
一枚のこらず、頂戴よ。
そうして、夥しい数のあたしを、花びらのように撒き散らした部屋で、いつまでも眠り続けたい。
紫陽花とさびしさを分け合ふてみる
たとえ、そういうものが存在するのだとしても、それは愛情には適わないものだと信じてきた。
つまり、この子は奥さんにはしたくないな、と思っても、愛情が深まっていくうちに、
やっぱり結婚したい
そう思うようになるのだろうと。
なのに。
好きだよ、すきだけれども、そういうんじゃないんだ。
男の言葉が、耳に付いて離れない。
できれば、結婚なんかしたくないよ。でも、外堀を埋められちまったんだ。
相手の女まで用意されてから、別れを切り出されるとは思わなかった。
最高だったよ。
いつも、会うたびに違う顔を見せてくれた。
いったい、本当の気味がどんな人なんだか、最後までわからなかった。
最後。
男の言葉に食って掛かる。
最後なんて、いや。そんなの、あたしは認めない。
ほら、そういうことも言うんだよな。
他に相手はたくさんいるのよ的なことも言う女なのに。
そんなこと、言っただろうか。
たとえ言ったとしても、相手が何人いても、最後にはあなた、そういうことだったのに。
最後には。
最後。
同じ言葉をつかいながら、あたしたちは違いすぎる結末を主張して、互いに譲らない。
男は、写真が好きだった。
主に花を撮るのが好きだと、はじめてもらった手紙に書かれていた。
雨上がりの透き通った日の光が、薄青い紫陽花の 花のかたまりをやわらかくとらえている一枚の写真が同封されていた。
きみは、この花のように、会うたびにイメイジが変わってしまいます。
いったいどんな女性なのか、もっともっと知りたい。
彼から向けられた、たくさんのレンズの目。
その中で、いったいあたしはいくつの色を見せたのだろう。
あたしの写真を、頂戴。
一枚のこらず、頂戴よ。
そうして、夥しい数のあたしを、花びらのように撒き散らした部屋で、いつまでも眠り続けたい。
紫陽花とさびしさを分け合ふてみる
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