そして、「ホワイト・デイ」がやって来た。

先立つ「バレンタイン・デイ」には「大好き」な男の子数名にチョコレートを贈った、幼稚園年中児、リーコ。
なんと、バッグに入りきらない「お返し」を抱えて帰って来た。
「なんで?。」
・・・こちらからあげたチョコレートは、すべてきちんといわゆる幼稚園鞄、の中に収まっていた。その「お返し」なのだから、同じように収まっている筈では無いのか・・・。
首を傾げながら、よく見ると、分かった。
「お返し」の箱が大きいのである。
つまり、 数は同じであるが、仕様が豪華なのである。
リボンが掛かっていたり、造花がくっついていたり。まさか、「なんでだろう」を踊り狂い、「大きくなったら仮面ライダーになる!」と張り切っている男子園児たち自らが、水色のリボンを掛けたり、桃色のお花を括り付けたりはしなかっただろうから、これはもう、そう、
「ママ」
が、ガンバッテ下さったのに違いない。

「あんた、ちゃんと、ありがとう、って言ったよね?。」
何しろ、こっちからは、「ハート型チョコ」一枚、のみである。カードは付けたものの、それは、ハハ(わたし)の私物である和紙に(つまりわざわざ買い整えたものではナイ)、娘が例の「変体幼女文字」を、へちゃへちゃ描き付けただけの、まあ、はっきり言って限りなく紙屑に近い代物である。
それなのに、こんな、ごリッパなお返しを・・・。あのチョコはインフルエンザウイルス付き、だったかもしれへんし・・・。
・・・。

夕食を整え、娘たちに食べさせて、こちらがいそいそ始めたことは、「お礼状書き」であった。
幸い、この「人工島」には、必ずそれぞれの家庭にFAXが設えられている。(と書きながら、我が幼稚園には無いことに気が付いた。なぜだろう。)
「お返し」をいただいたお礼に、今のクラスになってから仲良くしていただいたお礼を添えて、同じような文面ながら、それぞれに書き、「園児連絡網」をにらみつけて、次っ次に、送信。間違って違う子のお宅に送付してしまっては一大事、なので、ものすごく真剣である。
娘ふたりが「ハム太郎」の内容について、何やら、ごちゃごちゃ言っているが、当然、無視。
いきなりだが、娘はバス通園なので、同じバス停を利用している子供のお母さんたちとは親しくなれるが、それ以外の人とは、ほとんど面識が無い。だから、送付先の人の顔も、ほとんど明確に浮かんで来ない。
緊張する。
その上、娘しか授からなかったから、こういう「ホワイト・デイ」 における、「息子の母」の心理も分からない。相手の女の子がカワイイ子ならカワイイで、
「あの子はあちこちにチョコをばらまいたに違いないから、比べられてしまうわ」
と、気をもみ、「不細工」なら、またそれはそれで、
「あんな子になんでうちの息子がわざわざお菓子を選んであげなくてはいけないのよ!」
と、面倒くさくて逆恨みしてしまいそうである。

ともかく、無事、送信を終了。
「おくりもの」は、
「パパに見せてからね。」
と、いうことにする。
バレンタインには、母娘三人、それぞれがチョコレートをあげたのに、お返しが、「神戸名物ゴー○ル」一箱三人まとめてくれたパパに、この、娘への「お返し」の豪華さを、ぜひとも見せつけなければ・・・。

と思ったりして、片付け仕事に精を出していたら、FAXが、いずこより送信されて来た。

「本命」タクヤくんのお母さまから、であった。
文面には「何事も息子任せで・・・云々」とあり、最後に、今年一年のお礼と、来年度にむけてのご挨拶が丁寧に書かれてあった。
わたしは、思わず微笑んでしまった。
お手紙が届いたことが嬉しかったものあるが、
何だか楽しくなったのは、そこに書かれているのが、明らかに「変体少女文字」であったからである。
かつて、「おニャン子ブーム」の時代に、社会げんしょーとまで言われた、あの丸っこい書き文字が、そこに踊っている。実は、わたしも同じよー、なのである。(パソちゃん書きだからワカラナイけど)今でこそ、チョーカッコいい「スーパー園児」のお母さんであっても、このひとはたぶん、同世代だし、当たり前のことなのだが、どこかひっかかるものを、時代の空気の中で共有しつつ、ハハをやっているのである。こう書くと、アホみたいに単純に当たり前なんであるが、豪華版のお返しを前に怯えていたわたしには、なんか、とってもホッとする、その丸文字の羅列、であった。

しかしながら、わたしは、こうゆう「イベント」は、やはり、子供にさせるのが好き、である。
子供自身が参加したい、と言うのだから、メインは子供がする。で、オヤは、参考意見を述べたり、難しいことはサポートする。そういうのがすき。
今回も、大きなお菓子を、明らかに自分で包み、その上に折り紙でこしらえた、お花の切り紙を貼り付けてくれた男のコが、いる。
そういうのを見ると、我が子だけでなく、他の子の成長の一場面にも立ち会わせてもらって気がして、なんだか、うきうきしてくるのである。



早春はをとめの髪のはざ間にも



・・・さて、最終的に、モンダイがある。
実は、リーコは余りキャンデイがすきでは無い、ということ・・・はともかく、妹のチョーコ、こいつが、甘いもの大好き女であること、である。
リーコにお返しを下さった皆さん、そのほとんどがチョーコのお腹におさまってしまうであろうことを、何とぞ、お赦し下さいませ。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索