乙女らの含み笑いや紅き梅

 近所の梅林まで、梅の花を見に行ってきた。
  
 今年は寒いのか、まだ時期が早いのか、桜流に言えば「四、五分咲き」といったところ。娘たちは、梅の花の香りがする、と言ったが、わたしには感じられなかった。
 そう、娘たちと行ったのであるが、この子たちがまったく落ち着かない。梅の林の、ゆるやかな勾配を駆け上がり、駆け下り、道の無い坂を走り下りる。つい先年、この子らを連れて行ったときには、まだベビーカーに乗せたまま花を指差してたり、よいしょ、と抱っこでそよ風に揺れる小さな花を見せてやったりしたのだが。懐かしい。あの、穏やかで落ち着いた時間よ!

 もう、戻らない。
 身体を動かしているだけではなく、さかんに口も動かすので、相手をしてやらなくてはならず、俳句を考えるどころでは無い。犬の散歩をしているひとも多かったが、黙っているだけ犬の方がましである。よほど、
「犬と娘と取り替えましょうか、十分ばかり。」
と申し出ようかと思った。
 しかし、母親としては、毎日何かと大騒ぎしている間に、ひとりでそこらを走り回れるくらいに大きくなっているのであるから、ここはやはり感謝すべきところではあるのだろうね。ふう。
 紅色の梅が、少女たちの笑う様子に見えたのは、小さいのを二人ばかり連れていたせいであろうか。
 何がおかしいのか、とにかく四六時中笑いがこみあげてくるのが、少女たちである。静かにしていなければならない場所だと自分たちも分かっているのに、ついつい気が付くと笑い出している。それが乙女たちというものなのである、だから・・・。
 

  どうか、世界中の女の子たちが、そんなふうでいられますように。いつもいつも。

  
  

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