白き梅
2004年2月17日 リーコとチョーコのお話チョコ渡すはにかみ笑ひ白き梅
幼稚園の門の前には、大きな立て看板。「発表会」とある。
それを見て、リーコは一言。
「わー、どきどき。カンチョーする。」
・・・カンチョー?。
キンチョー?。緊張、やろ。
と思ったが、訂正しない。園児のあほな冗談にいちいち付き合ってはいられない。この手の冗談は、本当によくあることなのだ。
発表会。
園長先生いわく、「表現、ということの、一年間の集大成」だそうである。
じゃ年長組にとっては「園生活の集大成」ということなのか?。
そりゃ、緊張するよな。
リーコの通う幼稚園は、この手の「発表行事」に、えらく力を入れる。(運動会の鼓笛のときにも書きましたっけ。)
とりわけ年長は、担任がものすごいエネルギーを注ぎ込む。うまくできなくて、子供たちをののしり、泣かせ、激励する。そして子供たちはひたむきに練習し、やがて芸の完成を見たとき、子供たちは先生に駆け寄り、先生は子供たちを抱きしめ、時に涙ぐむ。
・・・いやー、青春やなあ。
と、思うのである。
で、発表会は具体的に何をするかを書き忘れた。
年少は、いわゆる、お遊戯、で、テープの音声に合わせて踊る。
年中になると、音劇、というもので、これは、音楽つきの短い劇がテープで流れて、それに合わせて踊ったり、セリフを言ったり、演技したりする。
で、年長になると、これは、ミュージカル、ということになる。
先生が生のピアノを弾く。
それに合わせて、子供たちは歌と劇を披露する。歌もセリフも踊りもすべて頭に入っていなければならない。もちろん配役もある。
リーコのクラスは「ジャックと豆の木」。
背たけのみならず、目鼻すべてがミニサイズの彼女が主役を張れるはずも無く、いわゆる「その他大勢」。しかし、たったひとつだけセリフがあり、そいつがたまらなく不安らしかった。
で、緊張する、というわけやね。
自分のだけじゃなく、他の役のもセリフから歌から踊りから全部暗記していて、「ひとりジャックと豆の木」ができるようになっていたリーコであれば(もちろん他の子もそうだろう)当然なのだが、本番はつつがなく終了。
しかし、この日はもうひとつ「緊張イベント」がある。
ヴァレンタインデイだったのだ!。
彼女は、今年は明らかに本命がいる。
ゴローくんである。三年間同じクラスで、先生も認める仲なんだとか。美少女では無いのに、本命とは両想い。まったく要領のいい女だ。
こちらも、クラス中公認、であれば、トラブルが起きるわけも無く、無事に手渡し終了。
よかったね。
ところで、その夜。
「あのね、ママ。今日ね、本番の前に、カンチョーする、って言ったらみんなに笑われちゃった。本当はね、キンチョー、って言うんだって。」
あらら。
ふざけているのかと思っていたら、マジで間違っていたのか・・・。
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