春暁
2004年2月22日 主治医に恋ーキレイなフリン(完結) 春暁の水はゆっくり飲みなさい
そのお寺に行って、どうしてもお参りしなければならない。
でも、一歩、境内に足を踏み入れたとき、足元に水が押し寄せてくるのを感じた。
それは、なま暖かくて、ゆっくり、たっぷりした温泉みたいな水で、よく見ると少しずつ嵩が増えているのだった。
日暮れが迫っている。
暗くなるまでに、本殿にたどり着けるだろうか。
不安。
そんな、夢を見て目覚めた。
午前五時前。
彼に会うと、その後数日間はいつも、どことなく上の空。
片想いだから、伝えられない想いが整理つかなくてあふれる。
それは、何かのフェロモンに似ているのだろうか。
彼に会うと、なぜだかその夜はいつも、夫にのしかかられる。
夕べは、とりわけ執拗だった。
はらいのけても、はらいのけても指が追いかけてくる。
狭いベッドの上のぎりぎりまで逃げて、どうしても嫌だと思った瞬間、太い腕をひっぱたいてしまっていた。
明け方のベランダは、なぜかとても風が強くて。
それも、どうして、こんなに暖かな風なのだろうか。
ふと何気なく見たパジャマの胸元のボタンがほとんど外れている。
かなしくなるよ。
部屋に戻って、水を飲む。
ひとりきりの想いで、熱くなる胸の火を消すために。
満たされない心を、満たすために。
そのお寺に行って、どうしてもお参りしなければならない。
でも、一歩、境内に足を踏み入れたとき、足元に水が押し寄せてくるのを感じた。
それは、なま暖かくて、ゆっくり、たっぷりした温泉みたいな水で、よく見ると少しずつ嵩が増えているのだった。
日暮れが迫っている。
暗くなるまでに、本殿にたどり着けるだろうか。
不安。
そんな、夢を見て目覚めた。
午前五時前。
彼に会うと、その後数日間はいつも、どことなく上の空。
片想いだから、伝えられない想いが整理つかなくてあふれる。
それは、何かのフェロモンに似ているのだろうか。
彼に会うと、なぜだかその夜はいつも、夫にのしかかられる。
夕べは、とりわけ執拗だった。
はらいのけても、はらいのけても指が追いかけてくる。
狭いベッドの上のぎりぎりまで逃げて、どうしても嫌だと思った瞬間、太い腕をひっぱたいてしまっていた。
明け方のベランダは、なぜかとても風が強くて。
それも、どうして、こんなに暖かな風なのだろうか。
ふと何気なく見たパジャマの胸元のボタンがほとんど外れている。
かなしくなるよ。
部屋に戻って、水を飲む。
ひとりきりの想いで、熱くなる胸の火を消すために。
満たされない心を、満たすために。
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