狐雨 女神の涙かも知れず

 
 気まぐれな天気のせいで、一日に二回も雨に濡れた。
 強風のせいで、自転車も、二回倒れた。
 でも、寒くないから、そう惨めな気持ちにはならない。

 これは、事実。

 時々、考える。事実を書く、ということと、真実を書く、ということの違いを。これは決して同じことでは無い。

 友達からの電話やメール、あるいは、誰かの「だいありい」、そういうものを聞いたり、読んだりしていると、自然に「お話」が生まれてくる。
 たとえば、これを、そのまま、「こういう話を聞きました」とか「こういう話を読みました」とかいうふうに書くこともできるのだけれど。
 話を聞いた、とか読んだ、とかそのまま書くのは、事実の記録。
 でも、なぜだろう、事実から、エッセンスを抽出しようとすると、どこかで嘘をついた方が、伝えられる気がするのは。
 
 書く、ということは。
 他人様に読んでもらうことを前提に書く、ということになるが、これは、自分の中の思いを伝えたい、ということである。
 
 事実をありのままに書きたい、というひともいるだろう。

 でも、わたしは、真実を書きたい。

 ほんとうのことを言えば、事実をそのまま書いている、とされるものだって、一度、書き手を通っている以上、それはどこかに虚構があるという気がして仕方が無いのであるが。

 ここで書いていることは。

 たとえ、一人称であっても、虚構である。

 そう。ここで「わたし」が何をしても、それは事実とは限らない。

 でも、真実である。
 誰かの話を素にしていても、そのどこかが自分の心の芯にぴったりと沿わない限り、そのことは書かない。

 たとえ、こういう場所であっても、誰かが読んでくれるものを書く以上、そのくらいの気骨は持っていなくては、と思っている。

 

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