春の日
2004年2月24日 主治医に恋ーキレイなフリン(完結) 春の日をミモザサラダに振りかけて
友達とのランチタイム。
テーブルの上には、さくら色の縁取りの施された、清潔なお皿。
フランスパンと、サラダと。
キャベツのスープ。チーズとパセリを浮かばせて。
メインデイッシュは、恋のお話。
「結婚してからの方が、いっぱい恋してるよ。」
・・・え?。
19歳で花嫁になった彼女は、事も無げに、そんなことを言って、笑う。子供たちはもう独立している。
「ダンナ、っていう、帰る場所があるから、恋ができるんじゃないの。」
ひとりきりのときには、恋をしても、失うことが怖かった。
でも、結婚してからは、落ち着いていられる。
だって、とりあえず、ひとりの男・・・夫・・・は確保してあるのだから。
・・・と彼女は微笑む。というより、哂う。
「信じられない、って顔してるね。ダンナさん、裏切ることなんか、考えたこと無いんでしょ。」
気持ちでは、裏切ってるよ。
とは、言わない。
ただ、小さく、そんなことは、これからどうなるか分からない、とつぶやきながらパンをちぎる。
「相手にのめりこんだら、どうするの。」
「それは無い。既婚者を選ぶから。相手も心得てるから。」
つまり。
家庭のある者同士が、あくまで、日常にスパイスをかけるために、恋をするのだと。
言ってみれば、昼間、愛人に抱かれても、夜は平気な顔で、夫に抱かれる、そのくらいの「心意気」がなければ、人妻は恋なんかしてはいけない、ということである。
まるで、勉強会だ。
水のグラスの向こう側に、レストランの灯り。ヴァレンタイン仕様か、ホワイトデイ仕様か、おそらくそのどちら向けでもあるのだろうが、ピンクのハート型の切り紙細工が被せかけてある。
ぼんやり眺めながら、ため息。
想うひとは、こちらの想いなど、夢にも気が付かず。
なのに、夫を拒む自分が、ほんとうにおバカな子供に思えてくる。
夫も、愛人も。
欲張りにならなければ、か・・・。
無理だ。
あるいは、すきになりすぎたかな。
彼女は、終始、嫣然と笑みを浮かべて、いかんなく食欲を発揮し、わたしは、その前でなぜだか妙に萎縮して、ランチタイムは流れて行った。
友達とのランチタイム。
テーブルの上には、さくら色の縁取りの施された、清潔なお皿。
フランスパンと、サラダと。
キャベツのスープ。チーズとパセリを浮かばせて。
メインデイッシュは、恋のお話。
「結婚してからの方が、いっぱい恋してるよ。」
・・・え?。
19歳で花嫁になった彼女は、事も無げに、そんなことを言って、笑う。子供たちはもう独立している。
「ダンナ、っていう、帰る場所があるから、恋ができるんじゃないの。」
ひとりきりのときには、恋をしても、失うことが怖かった。
でも、結婚してからは、落ち着いていられる。
だって、とりあえず、ひとりの男・・・夫・・・は確保してあるのだから。
・・・と彼女は微笑む。というより、哂う。
「信じられない、って顔してるね。ダンナさん、裏切ることなんか、考えたこと無いんでしょ。」
気持ちでは、裏切ってるよ。
とは、言わない。
ただ、小さく、そんなことは、これからどうなるか分からない、とつぶやきながらパンをちぎる。
「相手にのめりこんだら、どうするの。」
「それは無い。既婚者を選ぶから。相手も心得てるから。」
つまり。
家庭のある者同士が、あくまで、日常にスパイスをかけるために、恋をするのだと。
言ってみれば、昼間、愛人に抱かれても、夜は平気な顔で、夫に抱かれる、そのくらいの「心意気」がなければ、人妻は恋なんかしてはいけない、ということである。
まるで、勉強会だ。
水のグラスの向こう側に、レストランの灯り。ヴァレンタイン仕様か、ホワイトデイ仕様か、おそらくそのどちら向けでもあるのだろうが、ピンクのハート型の切り紙細工が被せかけてある。
ぼんやり眺めながら、ため息。
想うひとは、こちらの想いなど、夢にも気が付かず。
なのに、夫を拒む自分が、ほんとうにおバカな子供に思えてくる。
夫も、愛人も。
欲張りにならなければ、か・・・。
無理だ。
あるいは、すきになりすぎたかな。
彼女は、終始、嫣然と笑みを浮かべて、いかんなく食欲を発揮し、わたしは、その前でなぜだか妙に萎縮して、ランチタイムは流れて行った。
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