沈丁花
2004年2月26日 主治医に恋ーキレイなフリン(完結) 沈丁花詠い始めり夕まぐれ
春が、夕暮れに溶けていた。
どこからか、沈丁花の香りがする。
春の花には、二種類ある。踊る花と詠う花と。
たとえば、桜たちは、並木道沿いに並び、一斉に着飾って踊るように咲き、春を教えてくれる。
沈丁花は、静かに、地面の低いところから、ひそやかに香りながら、春を、詠う。
とてもあわただしい時間。
それでも、信号待ちのわずかのひとときに、ふいに聞こえてくる歌。
彼に会う。
どうして、あなたは、そんなに近付くのだろう。
そして、どうして、そんなに、じっと目を見て話すのだろう。
今日に限って。
「そんなふうに男を見たら、男は誤解する。」
かつてそう言って叱り付けた恋人がいたっけ。視力が悪くて、何もかもが少しぼんやりして見えていた頃だった。そうか、あなたも少し、目が悪いのね。
でも、だからって・・・。
あなたがそんなに近くにいるから、今日は初めて、薬指のリングをみつけてしまった。
なぜ今まで気が付かなかったのかしら。
それは、そこにあるのが自分に許された特権であり、もう絶対にそこからは、どかない、とでもいうように、自然に、かつ強力な引力でなじんでいる。
わたしの目の中に、何か見えてますか・・・?。
だから、そんなに見るの?。
春の夕暮れのアルコール密度はやや高め。うっかりしていると酔いそうになる。
だから、早く帰らなくちゃ。あなたも、わたしも。
沈丁花たちに願いをかけたら。
彼が仕事を終えて帰るとき、わたしの歌も一緒に歌って、と。
春が、夕暮れに溶けていた。
どこからか、沈丁花の香りがする。
春の花には、二種類ある。踊る花と詠う花と。
たとえば、桜たちは、並木道沿いに並び、一斉に着飾って踊るように咲き、春を教えてくれる。
沈丁花は、静かに、地面の低いところから、ひそやかに香りながら、春を、詠う。
とてもあわただしい時間。
それでも、信号待ちのわずかのひとときに、ふいに聞こえてくる歌。
彼に会う。
どうして、あなたは、そんなに近付くのだろう。
そして、どうして、そんなに、じっと目を見て話すのだろう。
今日に限って。
「そんなふうに男を見たら、男は誤解する。」
かつてそう言って叱り付けた恋人がいたっけ。視力が悪くて、何もかもが少しぼんやりして見えていた頃だった。そうか、あなたも少し、目が悪いのね。
でも、だからって・・・。
あなたがそんなに近くにいるから、今日は初めて、薬指のリングをみつけてしまった。
なぜ今まで気が付かなかったのかしら。
それは、そこにあるのが自分に許された特権であり、もう絶対にそこからは、どかない、とでもいうように、自然に、かつ強力な引力でなじんでいる。
わたしの目の中に、何か見えてますか・・・?。
だから、そんなに見るの?。
春の夕暮れのアルコール密度はやや高め。うっかりしていると酔いそうになる。
だから、早く帰らなくちゃ。あなたも、わたしも。
沈丁花たちに願いをかけたら。
彼が仕事を終えて帰るとき、わたしの歌も一緒に歌って、と。
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