ホワイト・デイ
2004年3月14日 ニチジョウのアレコレ ホワイト・デイ 薔薇と吐息を贈られて
バレンタイン・デイの句で、
チョコ渡すはにかみ笑ひ 白き梅
と書いたら、
「これは、ホワイト・デイ?」
とたずねられて、ああそうか、その方がいいかもね、と思った。
「はにかみ笑い」は、少年の方が、絵になりそう。
しかし、チョコ、ね。
バレンタイン・デイには、チョコレートを贈る、ということに、何となくなっている。「正統派」はチョコレートだろう。
じゃ、ホワイト・デイは?。
昔はマシュマロ、と言われていた気がする。が、マシュマロをお返しにいただいたことは無い。
そもそも、決まっていないのかもしれない。となると、返す方は、あれこれ考えなきゃいけないってこと、ですね。
近所のホテルのショップには、ホワイト・デイ向けのデイスプレイで、薔薇のジャムだとか、色とりどりのマシュマロを透き通ったボトルに詰めたものだとか、ラベンダー色の花びらにしか見えないバブルバスだとか、そういったものが、高々と盛られたアートフラワーと一緒に置かれている。
それだけ見ていても、お返しは何、と決められてはいない印象である。
娘のもらってきた「お返し」も、男の子のお母様が、あれこれ考えてくださったのだろう、キャンデイにかわいらしい文具が添えてある。小学校に上がるから、ということだと思う。
銀行に勤めていた頃は、融資部署で、男性が多かった。バレンタイン・デイは、そういう意味では大変だったが、ホワイト・デイは、なかなか面白かった。
「選べるお返し」という趣向だったのである。
融資係の女子行員数名が、それぞれ、包みを選ぶ。包み紙は同じで、外からは分からない。が、中身はみんな違うから、大きさも、重さも、それぞれ違う。
人妻で同期のリオちゃんは、一番大きくて重いのを選んだ。
中身は、梅干し。
わたしが選んだのは、「プーさんのテイッシュケース」であった。今も部屋に置いてある。
これもあの時代。
恋人、と言えないような、それでも時々は会う、という関係の、男がくれたお返しは、大きな薔薇の花束だった。
それを、ベッドから見える角度に置いて、眠りに落ちるときと、目覚めるときと、自然に視界に入るように飾った。
部屋には、甘くてどこか虚ろな香が鎮まっていた。
薔薇と眠り、薔薇と目覚める。息が詰まりそうに濃い、存在。それでも日が経つにつれて、花弁は開き、花びらは色あせ、床に破片となって散り始める。
いつかは、失われるから、美しく、甘い。気付いて、不安になった。
そしてその恋は、それから数ヶ月で、終わった。
バレンタイン・デイの句で、
チョコ渡すはにかみ笑ひ 白き梅
と書いたら、
「これは、ホワイト・デイ?」
とたずねられて、ああそうか、その方がいいかもね、と思った。
「はにかみ笑い」は、少年の方が、絵になりそう。
しかし、チョコ、ね。
バレンタイン・デイには、チョコレートを贈る、ということに、何となくなっている。「正統派」はチョコレートだろう。
じゃ、ホワイト・デイは?。
昔はマシュマロ、と言われていた気がする。が、マシュマロをお返しにいただいたことは無い。
そもそも、決まっていないのかもしれない。となると、返す方は、あれこれ考えなきゃいけないってこと、ですね。
近所のホテルのショップには、ホワイト・デイ向けのデイスプレイで、薔薇のジャムだとか、色とりどりのマシュマロを透き通ったボトルに詰めたものだとか、ラベンダー色の花びらにしか見えないバブルバスだとか、そういったものが、高々と盛られたアートフラワーと一緒に置かれている。
それだけ見ていても、お返しは何、と決められてはいない印象である。
娘のもらってきた「お返し」も、男の子のお母様が、あれこれ考えてくださったのだろう、キャンデイにかわいらしい文具が添えてある。小学校に上がるから、ということだと思う。
銀行に勤めていた頃は、融資部署で、男性が多かった。バレンタイン・デイは、そういう意味では大変だったが、ホワイト・デイは、なかなか面白かった。
「選べるお返し」という趣向だったのである。
融資係の女子行員数名が、それぞれ、包みを選ぶ。包み紙は同じで、外からは分からない。が、中身はみんな違うから、大きさも、重さも、それぞれ違う。
人妻で同期のリオちゃんは、一番大きくて重いのを選んだ。
中身は、梅干し。
わたしが選んだのは、「プーさんのテイッシュケース」であった。今も部屋に置いてある。
これもあの時代。
恋人、と言えないような、それでも時々は会う、という関係の、男がくれたお返しは、大きな薔薇の花束だった。
それを、ベッドから見える角度に置いて、眠りに落ちるときと、目覚めるときと、自然に視界に入るように飾った。
部屋には、甘くてどこか虚ろな香が鎮まっていた。
薔薇と眠り、薔薇と目覚める。息が詰まりそうに濃い、存在。それでも日が経つにつれて、花弁は開き、花びらは色あせ、床に破片となって散り始める。
いつかは、失われるから、美しく、甘い。気付いて、不安になった。
そしてその恋は、それから数ヶ月で、終わった。
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