霞のヴェール
2004年3月23日 主治医に恋ーキレイなフリン(完結) 人魚風 霞のヴェールかざしゆく
きのう、娘が一枚、自分で書いた誰かの似顔絵を持って来て、
「せんせい、だいすき、って書いて。」
って言った。
さすがに泣きたくなった。
ごめんね、残念だけど、それは渡せない。こっそりごまかしておいて、後で捨てるしか無い。
ママもね、「せんせい、だいすき。」って言いたかったんだよ。ほんとはね。だけど、言えなかった。
最後まで、伝えられなかった。
雨上がりの空を、うす青い色が彩り始める。
薄墨色の雲が、風に大きく押しやられて・・・。
シルバーカラーの人魚は、透明な瞳でわたしを見下ろしながら、大きく広げたしなやかな両腕にヴェールを掲げて高く、高く、雲を、追う。
じっと見上げていると、小さな女の子になったみたいだよ。
人魚の像の上を、流れる雲をみつめているだけで、時間が逆流するの。
晩夏の黄昏時、降りてきた恋を、早春の風の中で空に返す。
さよなら。
わたしは、貴方を、卒業します。
きのう、娘が一枚、自分で書いた誰かの似顔絵を持って来て、
「せんせい、だいすき、って書いて。」
って言った。
さすがに泣きたくなった。
ごめんね、残念だけど、それは渡せない。こっそりごまかしておいて、後で捨てるしか無い。
ママもね、「せんせい、だいすき。」って言いたかったんだよ。ほんとはね。だけど、言えなかった。
最後まで、伝えられなかった。
雨上がりの空を、うす青い色が彩り始める。
薄墨色の雲が、風に大きく押しやられて・・・。
シルバーカラーの人魚は、透明な瞳でわたしを見下ろしながら、大きく広げたしなやかな両腕にヴェールを掲げて高く、高く、雲を、追う。
じっと見上げていると、小さな女の子になったみたいだよ。
人魚の像の上を、流れる雲をみつめているだけで、時間が逆流するの。
晩夏の黄昏時、降りてきた恋を、早春の風の中で空に返す。
さよなら。
わたしは、貴方を、卒業します。
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