(本日、18禁。いやらしいのがお嫌いな方は、読まないでくださいね。この日記、お前が言うほど過激じゃないよ、と言われて、受けて立ちたくなりました。挑戦してやる。)

   
      物騒な下着の色 桜蘂降る

 「・・・不良になるからね。」
 
 と、一言つぶやいてから、彼の上に身体を重ねた。ベッドの下には、紅色の下着。普段はまず絶対に身につけないもの。
 はじめての、年下の男。
 だからと言って、リードしようなどとは思っていない。
 怖気付きそうになる心をはやらせるために、こちらから責めるだけ。
 でも、どうして、このひとの身体は、こんなに、どこもかしこもあたたかいのだろう。
 くちびるも、てのひらも、胸板も、男のくせに、そこが一番感じるのだと言う小さな乳首でさえ、唇でころがせば、あつく熱が伝わってくる。
 
 腰のあたりを撫でる手のひらも、湿り気を帯びてやたらと熱い。
 そのまま、わたしの身体の中にすべりこんでくる器用な指先。
 まだ十分に、潤ってはいないはずなのに、探り当てられた一点の確かさに、思わず声を立てそうになる。
 このままでは、負ける・・・。

 不確かな、出会い。
 人妻であると知ってて誘うような男。
 短いメールの内容が、少しずつ崩れだして・・・。
 会ったのは、さっきが初めて。
 
 それでいて、不自然じゃない。
 
 とんでもなく真面目なところと、おそろしくふしだらなところ、どちらも併せ持っている、そういう二人の、始めての情事。

 ・・・男を口に含んでみる。
 相変わらず、わたしが、またがっている体勢。あせって押し倒すことも無く、こちらの反応を楽しむ表情が憎らしい。
 だから、思い切り強く吸い、高まるのを確認してから、今度は舌先で優しくなめていく。
 時々、唇でしめつけて。
 いたぶるように、かわいがるように。
 もうすぐ、迎え入れることになる、いとおしいものを、にくらしいものを。

 「ヤバイ。」
 そうつぶやく声、いきなり押し倒される。
 足元に口が近付くのは、無理やり止めさせる。これはあんまり好きじゃない。
 それよりも、その指が欲しい。
 自由自在に動かせる、やたら器用な指先で、わたしをかきまわして欲しい。やさしく、はげしく。

 キスが、降りてくる。

 「サクランボのヘタを、口の中で結べるひとは、キスが上手なんだよね。」

 あれは、いつのメールだった?。

 あのときは、まだ、キス止まりのはずだったんだよね。
 こうして、こんなふうに抱き合っているけど。
 あのときには、桜が咲き始めていたばかりだった。
 なまめかしい文章を液晶に彫りこみながら、まだ見たことのない唇を思った。
 
 いま、このホテルの窓をきまぐれに開けたら、散り果てた花の代わりに、何千もの桜しべが、アスファルト一面に降り注いでいるだろう。
 サクランボを実らせる準備ができて、花の雄たちは、一斉に散り果てる。

 そうして、いま、あなたの桜蘂が、わたしの花芯を貫いて暴れだす。
 
 さっきまでの穏やかさの全く感じられない、力まかせの振動が小さなわたしを突き動かす。
 声は立てない。
 立てないつもりが、我慢できない。
 右手で口を押さえれば、あなたはその手をシーツに押し付ける。その荒々しさに、悔しいけど感じる。
 もう長いこと立てたことの無い声が、空に舞うのを聞く。自分じゃないみたい。

 そう、これは自分じゃない。
 
 夫以外の男と、お茶すら飲んだことの無いわたしが、名前すらちゃんと知らない男の身体で飛翔する。
 男の目に浮かぶ、一瞬の冷静さ。
 確認する間も無く、動きが激しく、激しくなる。
 ああこういうとき、いったいどうすればいかせられるんだった?。
 早く果ててくれないと、壊れそう・・・。

 
 
 
 

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