盆踊り サンバ マカレラ  さらば夏

 
  住んでいる人工島の夏祭りだった。
  このお祭りは、ここに多く住んでいる外国人たちがバカンスを終えて戻ってくる八月の終わりに毎年行われる。
  今年は、櫓の周りを回る恒例の盆踊りに加えて、外国人の「ダンスステージ」がプログラムに組み込まれ、思い切り楽しませてもらった。
  日本人でありながら、盆踊りのリズムよりも、ロックやサンバの方が身体になじんでいるのはなぜだろう。生まれ育った時代だとか、家庭環境だとか、分析すれば色々あるのだろうが、難しく考えるのは止めよう。とにかく、気持ちのいい音楽に身を任せてしまおう。

  ここで、わたしと同じようにノッていたのが次女のチョーコ
である。長女リーコとその父親(わたしから見りゃ主人)が、いい加減ダンスに飽きてその場を離れたくなっているのに、チョーコはまだまだ踊ると言う。(わたしも)
  こういうときだけは、わが子がひとりっ子で無くて嬉しい。リーコには行かなかったダンスのDNAが、チョーコには、受け継がれている。そしてわたしたち親子の前にも、幼い子供を肩車して、しっかりツイストをキメている「パパ」がいる。肩の上で大きく揺さぶられながら、浴衣姿の幼女は本当に楽しそう。こういう遺伝子は、どんどん残したい。きっと、もっと世界は平和になる。
  
  では、わたしの中のビート遺伝子は、どこから来たのだろう。
  誰が、注いでくれたものなのだろう。おそらくプレスリー世代の母親とは思うが。では、こういう母に、そういう遺伝子を渡したのは、誰?

  大音響の中、汗も時間も気にせずに踊っていると、それだけで何かが抜け落ちて行く気がする。何も考えない。嫌なことも、悲しいことも、もしかしたら実は大切なことも、どんどん、つぎつぎ、流れ出ていく。
  隣りで踊っていて、目配せをくれた人が誰なのか、名前も知らない。でも、笑顔を返す。
  目の前で笑いかける人とは、同じ言葉で話せない。だけど、気持ちは通じる。

  昔、聞いたことがある。
  盆踊りで、踊り手たちが、深い編み笠を被る理由。
「お盆でこの世に帰って来ている人が、もしも混じって踊っていても分からないようにするためだよ」
  教えてくれたのは、祖母だったか。母だったか。
  

      右横は彼かも知れぬ踊りの輪

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