梨の皮

2004年9月12日
  

      梨の皮切れずに剥けて願い無し

  林檎の皮や、梨の皮を、最後までちぎれずに剥くことができたなら、願い事が叶う、と聞いたことがある。

  少女だったわたしは、片想いの彼と両想いになりたくて、まだそんなに上手では無かった包丁を使い、必死で皮むきの練習をしたものだ。
 
  主婦になった今では、ちぎれずに剥こう、などと意気込んで包丁を握らずとも、簡単に、すいすい剥けてしまえるようになった。
  けれども、剥き終わった皮の、新体操の選手が手元から繰り出すリボンのような、きれいな螺旋を見ると、ああ、これで願い事がひとつ、叶うんだな、と思う。
  
  さっき、タロット占いで、「死神」を引いてしまった。
  終わりの、カード。
  密かに叶うことを夢見ていた願い事だけれど、あのカードによれば、もう叶わない。

  そんなに大それた願いだったとも思えないけれど。
  そう。梨の皮一枚程度で、決着できると思う願い事だと思うのに。
 
  だけど、本当の答えは、占いの中には、無い。
 
 ・・・答えは、ケイタイで、やってくる。
 その小さな箱が、身をよじらせて震えることを、わたしは、静かに待っている。

  

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