島ひとつワインに沈め暮れてゆく

  神戸に来て思うのだが、どうして冬になると街の灯は、こんなに鋭く瞬くのだろう。煌きに心を奪われて、涙が出てくる。

  フィクションが、二つ続いた。

  だから、ってわけじゃないけれど、今日は本音を書いてみようかなと思う。

  先日、「過喚気症候群」の発作に見舞われた。実に15年ぶりの発作である。
  こいつは深呼吸のしすぎみたいなもので、おさまってしまえば実にあっけないものなのだが、発作が起きているうちはとても苦しい。
  何しろ呼吸ができないのだから。見た目も死にそうに見えるらしく、気の早いひとは救急車なんか呼びかねない。実際に、この前のときは職場だったから、救急車に乗せられた。話もできないくらいになるので、本人もだけど、周りの人間もあわててしまうのだ。
  幸い今回わたしが倒れたのは自宅にいるときで、子供たちも寝たあとだったから、誰もあわてさせることなく、紙袋を口にあてて静かにしているうちに落ち着いたのではあるが、これが屋外だったら、しかも子連れのときだったらどうしよう、と不安になる。
  いや、でもここで不安になることが、また発作を起こしかねないんだなあ、これが。

  ここまで読まれて、あれ、って思われた方もおられるだろう。
  夫の存在である。
  彼は不在ではなかった。しかも、わたしが発作を起こしかけたのは見ている。けれども、何もしなかった。あわてることもなかった。ヘタに救急車を呼ばれるよりはマシじゃん、と思いつつも、不自然だと思った。
  なんとも、思わないんだな。

  結婚する前には、結婚すれば、孤独から解放されるのだろうと思っていた。
  けれど、結婚してみて、これが余計に孤独を煽ることもあると知った。
  が、いい年をして、甘えているわけにもいかない。自分で孤独を飼いならしてやらなければ、救われない。

  書こう、と思った。

  立て続けに入っていた仕事もメドがついた。書く行為で、自分の不安感を鎮めてやろうと思った。わたしに思いついたことは、そういうことだった。だから、書いた。
  「フィーネとレイン」を書いたときには、まだ不安定だった心が、翌日「ハナとジュン」を書き終わって、かなり落ち着いてきたことに気が付いた。

  わたしには、物語が必要なのだ、と心から思う。
  よろしければ、今後もお付き合いください。

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